はじめに
近年のゲームグラフィックスは、映画のようなリアルさと滑らかさを実現するためにAI技術を積極的に取り入れています。特に「アップスケーリング(解像度の引き上げ)」や「フレーム生成」といった技術は、ゲーム体験を大きく変える存在として注目を集めています。
これまで、この分野をリードしてきたのはNVIDIAのDLSSや、IntelのXeSSでした。しかし2025年、AMDが発表したFSR Redstone(レッドストーン)は、従来の常識を覆す革新的な技術です。
最大の特徴は、AMD製GPUに限らず、NVIDIAやIntelのGPUでも動作可能だという点。しかもAI専用ハードを必要とせず、幅広い環境で最新の画質向上技術を利用できるようになります。これは「GPUの垣根を超える」大きな一歩であり、ゲーマーにとっても開発者にとってもインパクトの大きい発表です。
本記事では、このFSR Redstoneの仕組み・メリット・FSR 4との違いについてわかりやすく解説し、今後のゲーム体験がどのように変わるのかを探っていきます。
FSR Redstoneとは?
FSR Redstoneは、AMDが開発した最新のアップスケーリング技術で、従来のFSR(FidelityFX Super Resolution)の進化版にあたります。最大の特徴は、これまでのAI処理にありがちな専用アクセラレーターを必要としないことです。
一般的に、NVIDIAのDLSSはTensorコアと呼ばれる専用ハードを前提にしており、対象GPUが限られていました。しかしFSR Redstoneは、汎用コンピュートシェーダー上で動作する仕組みを採用しているため、AMD RadeonだけでなくNVIDIA GeForceやIntel ArcなどのGPUでも動作可能です。
この柔軟性を支えているのが、AMDが研究開発した「ML 2 コード」と呼ばれる仕組みです。これはニューラルネットワークで学習済みのモデルを、GPUが実行できる最適化済みのHLSLコードに変換する技術。これにより、AI専用ハードがなくても高度な推論処理が可能になります。

つまりFSR Redstoneは、ハードウェアの種類を問わず、より多くのゲーマーに最新のグラフィックス体験を届けられる「オープンな画像処理基盤」だと言えるでしょう。
FSR Redstoneの4つの主要機能
FSR Redstoneには、これまでのFSRシリーズを超える4つの中核機能が搭載されています。それぞれがAIを活用しつつも、GPUの種類を問わず動作できる点が革新的です。
1. ニューラルレディアンスキャッシング
ゲーム内の光の反射や間接照明をリアルタイムで学習・予測する技術です。これにより、大規模なレイトレーシングを行わなくても、自然でリアルな光表現を効率的に再現できます。
2. 機械学習レイリジェネレーション
限られたサンプル(スパースなレイ)からでも、AIが欠けた部分を補完し、シャープでノイズの少ない映像を生成する仕組みです。結果として、低コストで高品質なレイトレーシング描画が可能になります。
3. 機械学習スーパーレゾリューション
FSRの基本でもあるアップスケーリング機能の進化版。低解像度で描画したフレームをAIが高解像度に変換し、高いフレームレートと美しい映像を両立します。
4. 機械学習フレームジェネレーション
描画済みのフレームの間に新しいフレームをAIが予測して挿入する技術。これにより、体感フレームレートを大幅に向上でき、より滑らかなゲームプレイを楽しめます。

これらの機能が組み合わさることで、FSR Redstoneは単なるアップスケーリングを超えた「ニューラルレンダリング技術」として進化を遂げています。
FSR 4との違いと進化
FSR 4とFSR RedstoneはどちらもAMDのアップスケーリング技術ですが、そのアプローチは大きく異なります。
FSR 4の特徴
- 従来のFSR 3.1を進化させたバージョンで、主に超解像技術に特化
- AIを利用したスーパーレゾリューションにより、解像度アップとフレーム生成を実現
- ゲーム内でFSR 3.1を有効化 → ドライバー設定で自動的にFSR 4へ上書き可能
- 開発者の対応を待たずに、最新技術をユーザーが体験できるのが強み
FSR Redstoneの特徴
- ニューラルレンダリング技術を統合し、光の挙動やレイトレース表現も強化
- ML 2 コードにより、AI専用ハードが不要で他社GPUでも動作可能
- 単なるアップスケーリングではなく、レンダリングパイプライン全体の進化を目指す

要するに、FSR 4は既存技術の改良版であるのに対し、FSR Redstoneは次世代の基盤として位置づけられています。前者が「現実的な最適化」だとすれば、後者は「未来に向けた拡張」といえるでしょう。
競合技術との比較(DLSS・XeSSとの違い)
アップスケーリング技術はAMDのFSRだけではありません。NVIDIAのDLSS、IntelのXeSSといった競合技術が存在し、それぞれに特徴があります。FSR Redstoneを理解するためには、この比較が欠かせません。
NVIDIA DLSS
- Tensorコアと呼ばれる専用AIアクセラレーターを搭載したGeForce RTXシリーズ専用
- AIを活用した高精度な超解像により、画質のクオリティは非常に高い
- しかし対応GPUが限定されるため、最新世代RTXユーザーのみが恩恵を受けられる
Intel XeSS
- Intelが開発したアップスケーリング技術
- AIベースだが、オープン規格に近く、NVIDIAやAMDのGPUでも利用可能
- ただし最適化はIntel Arc GPU向けに行われており、マルチGPU環境では性能差が出やすい
AMD FSR Redstone
- AIアクセラレーター不要、コンピュートシェーダーだけで実行可能
- AMD・NVIDIA・Intelを問わず、幅広いGPUで動作可能
- 「誰でも最新体験を共有できる」というGPU民主化アプローチが最大の強み

まとめると、DLSSは高品質だが専用性が強い、XeSSは互換性があるが最適化は限定的、そしてFSR Redstoneは互換性と実用性を両立した現実的な選択肢として位置づけられます。
ゲーマーへのメリット
FSR Redstoneの登場は、ゲーマーにとって非常に大きな意味を持ちます。従来は最新の高価なGPUを持っていなければ体験できなかった技術が、より多くの環境で利用可能になるからです。具体的なメリットを見ていきましょう。
1. 古いGPUでも最新技術を体験できる
専用のAIコアを必要としないため、古い世代のRadeonやGeForceでも恩恵を受けられるのが大きな特徴です。買い替えを検討していないユーザーでも、最新のアップスケーリングやフレーム生成を試せます。
2. フレームレートの向上
FSR Redstoneは、フレーム生成や超解像により体感的なフレームレートを大幅に向上させます。これにより、アクションゲームやFPSでもカクつきを感じにくく、快適なプレイが可能です。
3. レイトレーシング体験の底上げ
高負荷なレイトレーシング処理でも、AIが不足分を補うことで描画コストを抑制。結果として、より自然でリアルな光表現を楽しめるようになります。
4. コストを抑えて快適なゲーム環境を実現
最新GPUに買い替えなくてもゲーム体験を大きく改善できるため、コストパフォーマンスに優れた選択肢となります。特に学生やライトゲーマーにとって大きなメリットです。

つまりFSR Redstoneは、「誰でも最新のグラフィックスを楽しめる世界」を実現する技術だといえるでしょう。
開発者へのメリット
FSR Redstoneはゲーマーだけでなく、ゲーム開発者にとっても多くのメリットをもたらします。特に導入のしやすさと将来性の両立が大きなポイントです。
1. FidelityFX SDK 2.0による簡単な実装
AMDが提供するFidelityFX SDK 2.0を利用することで、既存のFSR 3.1対応ゲームを簡単にFSR 4へアップデート可能。さらに将来的なRedstoneへの移行もスムーズに行えるよう設計されています。
2. 開発者の工数削減
ゲーム内に特別な実装を加えなくても、ドライバーが自動的にFSR 3.1をFSR 4へ上書きする仕組みが整っています。これにより、開発者は余計なアップデート作業を減らしつつ、ユーザーに最新の体験を届けられます。
3. 幅広いハードウェア互換性
AMDだけでなく、NVIDIAやIntel GPUでも動作するため、マルチプラットフォーム展開が容易になります。特定ベンダー依存から脱却できるのは、開発者にとって大きな利点です。
4. 将来の標準化に備えられる
現在Microsoftが推進するDirectX Cooperative Vectorsとの統合も視野に入れられており、次世代標準技術へのスムーズな移行が可能になります。開発者にとって「長期的に投資価値のある技術」と言えるでしょう。

FSR Redstoneは、単なるグラフィックス技術ではなく、開発コスト削減と将来の標準化に備えるための実用的な選択肢として注目されています。
まとめ
AMDのFSR Redstoneは、これまでのアップスケーリング技術の常識を大きく変える存在です。専用AIコアを必要とせず、AMD・NVIDIA・IntelのGPUを問わず動作可能という点は、まさに「GPUの民主化」と言えるでしょう。
従来のFSR 4が持つ高解像度化とフレーム生成の仕組みに加えて、Redstoneはニューラルレンダリング技術を統合。レイトレーシングや間接照明の最適化を含め、グラフィックス全体の品質を底上げします。
ゲーマーにとっては、古いGPUでも最新技術を体験できる大きなチャンスであり、開発者にとっては少ない工数で幅広い環境に対応できる点が魅力です。今後、DirectXの新技術とも統合されれば、業界全体にとって大きな転換点となる可能性があります。
今後FSR Redstoneが普及すれば、どんなGPUでも同じ美しさを共有できる時代が訪れるかもしれません。まさに「ハードの壁を越える新しいゲーム体験」の幕開けです。
参考文献
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よくある質問(FAQ)
- QFSR Redstoneは古いGPUでも動きますか?
- A
はい。FSR RedstoneはAI専用ハードを必要としないため、古い世代のRadeonやGeForce、Intel GPUでも動作可能です。高価な最新GPUを持っていなくても、最新のグラフィックス体験を楽しめます。
- QFSR 4とFSR Redstone、どちらを使えばいいですか?
- A
現状ではFSR 4が主流で、多くのゲームに対応しています。ただし、FSR Redstoneは次世代の基盤技術として開発されており、今後はより多くのタイトルで採用が進むと考えられます。
→ 今はFSR 4を使いつつ、Redstone対応ゲームが増え次第切り替えるのがおすすめです。
- QDLSSと比べて画質はどうですか?
- A
DLSSは専用ハード(Tensorコア)を活用するため、現状では画質や安定性で一歩リードしています。ただし、FSR RedstoneはGPUの種類を問わず使える点で優位性があります。将来的に最適化が進めば、DLSSと肩を並べる、あるいは超える可能性もあります。







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