はじめに
最近、「SSDが高くなってきた」「在庫が少ない」と感じたことはありませんか?
実はこの動き、単なる一時的な値上がりではありません。AIブームとデータセンター需要の急拡大によって、ストレージ業界そのものが大きく変わりつつあるのです。
これまで、NANDフラッシュメモリ(SSDの主要部品)はスマートフォン市場の動向に左右される“循環型”の産業でした。しかし今、その主役が完全に入れ替わろうとしています。AIを支える巨大クラウド事業者や生成AIモデルを運用するデータセンターが、かつてないペースでSSDを必要としているのです。
SanDisk(サンディスク)の最新決算や半導体メーカー各社の発表を分析すると、この供給不足は短期では解消しません。2027年頃まで、世界的なSSD不足が続く可能性が高いと言われています。
本記事では、なぜSSDが足りなくなるのか、どんな技術的・構造的要因があるのか、そして私たち消費者が今できる対策について、専門的な内容をできるだけやさしく解説します。
NANDフラッシュの供給不足、なぜ「構造的」なのか?
半導体市場では、景気や需要の波によって数年おきに「供給過剰」と「供給不足」が入れ替わるのが一般的です。たとえば、スマートフォンの販売が伸びた年はメモリ価格が上がり、その翌年に需要が落ち着くと価格が下がる──そんなサイクルが繰り返されてきました。
しかし、今回のSSD(NANDフラッシュ)不足はこの従来サイクルには当てはまりません。SanDiskをはじめとする大手メーカーは、2026年末から2027年以降も供給が追いつかないと見ています。これは「一時的な需給の偏り」ではなく、業界構造そのものが変わっているサインです。
実際に、主要なクラウドサービス事業者(Google、Microsoft、Amazonなど)は、今後数年分のSSD需要をすでに長期契約で確保しています。中には「2027年通年」の発注を見据えて、複数年にわたる供給保証を求める企業もあるほどです。
このような動きが示すのは、SSDが戦略的インフラとして扱われ始めたということ。もはや“部品の1つ”ではなく、AI・クラウドを動かす心臓部となり、短期的な在庫調整では解決できない構造的な不足へと移行しています。

つまり、これからのNAND市場では「作れば売れる」時代が長く続く可能性が高く、価格下落のサイクルも従来のように機能しなくなるかもしれません。
AI・データセンター需要が市場を変えた
今、世界中で進むAI開発と生成AIサービスの拡大が、SSD不足を引き起こす最大の要因になっています。
これまでNANDフラッシュメモリの主な需要源はスマートフォンでした。ところが2026年以降は、データセンター向けSSDがモバイルを上回る最大セグメントになると予測されています。つまり、SSDの「主役交代」がすでに始まっているのです。
AIモデルの学習段階ではGPUの性能が重視されますが、サービスとして展開される“推論”の段階では話が違います。画像生成や音声認識、リアルタイム翻訳などの処理では、大量のデータを高速に読み書きできるストレージが欠かせません。GPUだけではなく、SSDの性能が結果を左右するようになっています。
さらに、従来データセンターの主流だったHDD(ハードディスクドライブ)から、高性能SSDへの移行も加速中です。HDDは大容量ながらアクセス速度が遅く、AI処理には不向き。SSDはアクセス速度が数十倍速く、AIのリアルタイム推論には最適です。
この需要変化により、クラウドサービス事業者(ハイパースケーラー)や企業は、従来の比ではない量のSSDを必要としています。たとえばOpenAIのChatGPTやGoogle Geminiなどの大規模AIは、膨大なストレージI/Oを毎秒レベルで処理しています。

結果として、AIブームは単なる「流行」ではなく、半導体産業の需要構造そのものを塗り替える現象となりました。今や、SSDはAIの進化を支える不可欠な基盤です。
供給側の問題:なぜ生産を増やせないのか?
「需要が増えているなら、生産を増やせばいいのでは?」──そう思う人も多いでしょう。 しかし、NANDフラッシュの供給が追いつかないのは、単純な生産量の問題ではありません。ここには複数の“構造的制約”が存在します。
1. 投資の優先順位が変わった
まず、半導体メーカー各社(Samsung、SK hynix、Micronなど)は、AI向けメモリの中でも特に利益率が高いHBM(高帯域幅メモリ)やDRAMへの投資を優先しています。 これにより、NANDフラッシュ向けの設備投資は後回しになり、工場の増設ペースが大幅に鈍化しています。
2. 製造装置メーカーの投資も遅れている
Lam ResearchやTokyo Electronなどの半導体装置メーカーも、NAND製造装置への投資を控えており、2026年後半まで本格的な増産が始まらないとの見通しを示しています。 装置の供給が追いつかないため、NANDメーカーが「作りたくても作れない」状態が続いています。
3. 技術の壁が年々高くなっている
現在のNANDは「3D NAND」と呼ばれる構造で、メモリセルを縦に何百層も積み重ねて容量を増やしています。 しかし、層数が200を超えると製造難易度が一気に上がり、歩留まり(製品化できる割合)が低下。 最新世代では218層以上の積層技術が採用されており、これを安定的に量産するのは非常に難しいのです。

このように、「資金・設備・技術」すべての面で制約が重なっているため、世界的なSSD不足はすぐには解消されません。 結果として、2027年にかけては供給が緩むどころか、むしろ逼迫する可能性が高まっています。
SanDiskの戦略と次世代技術「BiCS 8」
こうした供給制約の中で、SanDisk(サンディスク)は次世代技術による突破口を見出そうとしています。 それが、同社が記憶シア(旧・東芝メモリ)と共同開発している第8世代3D NAND「BiCS 8」です。
BiCS 8は、単なる層数の増加だけでなく、構造そのものを刷新することで性能と生産性を両立した革新的な設計となっています。
BiCS 8の主な特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発体制 | SanDiskと記憶シアの共同開発 |
| 世代 | 第8世代(BiCS 8) |
| 積層数 | 218層のメモリセルを垂直積層 |
| 製造手法 | CBA(Cell-Array and CMOS Bonding)技術を採用 |
| 構造 | メモリセルとCMOS回路を別ウェーハで作り、後から接合 |
| 性能向上 | 密度+50%、電力効率+30%、インターフェース速度+60% |
このCBA技術によって、従来よりも高密度かつ高効率なNAND構造を実現。 1平方ミリメートルあたり17Gb以上という業界最高クラスの記憶密度を達成しています。
SanDiskは、このBiCS 8をエンタープライズ向けSSDに積極的に展開し、AIやクラウドサーバー向け市場でのシェア拡大を狙っています。 現時点ではビットシェア(市場占有率)こそ約12%とやや出遅れているものの、BiCS 8の量産化が進めば、競合に対して一気に巻き返す可能性があります。

つまり、SanDiskにとってBiCS 8は単なる新技術ではなく、AI時代を生き残るための生命線なのです。
SSD選びにも波及する「市場構造の変化」
AIとデータセンターの需要が急増している影響は、一般ユーザーが購入するSSDにも確実に波及しています。 最近では「いつも買っていたSSDが品切れ」「価格がじわじわ上がっている」といった声も少なくありません。
この背景には、エンタープライズ向けに優先的に供給される流れがあります。メーカーとしては高単価・高利益の法人向けSSDを優先するため、一般向け製品への供給が後回しになりやすいのです。 つまり、これからの数年間はSSD価格の下落サイクルが鈍化し、むしろ緩やかに上昇していく可能性があります。
とはいえ、個人ユーザーでも今のうちに賢く選べば、性能・信頼性の高いモデルをお得に確保できます。特に、動画編集やゲーム、AIツールの利用などデータ転送が多い環境では、転送速度の速い外付けSSDを選ぶことが重要です。
その中でも人気が高いのが、SanDiskの外付けSSDシリーズ。USB 3.2 Gen2対応で最大1050MB/sの超高速転送に対応しており、写真・動画・バックアップ用途に最適です。
📦 おすすめSSD:SanDisk 外付けSSD 1TB(USB 3.2 Gen2対応)
AIや動画編集のデータ保存にも安心の高速・高耐久モデル。 衝撃に強く、ポータブルでも安定したパフォーマンスを発揮します。
SSDの価格動向を見ていると、2025年後半以降は「安い時期に買い替える」という従来の戦略が通用しにくくなりそうです。 とくに容量1TB以上のモデルは、AI関連の需要拡大で真っ先に品薄化する可能性があるため、今のうちに確保しておくのがおすすめです。

つまり、SSD市場の変化は単なる業界ニュースではなく、私たちの生活に直接影響する“買い物戦略”の問題でもあるのです。
SanDisk業績が示す「AI時代の勝者」
AIブームによって最も恩恵を受けている企業のひとつが、SanDisk(サンディスク)です。 同社の2026年度第1四半期決算は、まさに“AI特需”を象徴する内容となりました。
売上高は23億ドル(前期比+21%)、非GAAPベースの粗利率は29.9%と大幅に改善。 特にデータセンター向けSSDの売上は前四半期比+26%を記録し、エンタープライズ分野の成長が業績全体を牽引しました。
さらに第2四半期の見通しでも、売上高が25.5億〜26.5億ドルと市場予想を上回るガイダンスを提示。 これはAI推論向けSSD需要が依然として旺盛であることを示しています。
市場アナリストの評価も上昇
ウォール街の主要アナリストたちもSanDiskの業績を高く評価しています。 Bank of Americaや水保証券などは、AIデータセンター関連の成長を理由に目標株価を相次いで引き上げました。
特に注目されているのが、SanDiskのエンタープライズ向けSSD事業です。 この分野は利益率が高く、AI時代の「収益ドライバー」として注目されています。 現時点ではビットシェア(市場占有率)は約12%と控えめですが、BiCS 8による生産効率の向上と大口顧客への長期契約拡大によって、今後2〜3年で急伸する見込みです。
短期的な課題も存在
もちろん課題もあります。 SanDiskは競合のSamsungやMicronと比べると、AIサーバー向けの製品ライン拡充がやや遅れており、供給キャパシティをどれだけ早く拡大できるかが鍵となります。 しかし、BiCS 8の量産化が順調に進めば、2026〜2027年にはシェア拡大と収益性向上の両立が期待されています。

つまり、SanDiskは単なる“メモリメーカー”ではなく、AIインフラの基盤を支えるテクノロジー企業へと進化を遂げつつあるのです。
まとめ
ここまで見てきたように、現在のSSD不足は一時的な需給の乱れではなく、AI時代における構造的な変革が背景にあります。
- AI・データセンター需要の急増で、SSDは「企業インフラの中核」へ
- メーカー各社がHBM・DRAM投資を優先し、NANDの供給拡大が遅延
- SanDiskは次世代技術「BiCS 8」で巻き返しを図る
- SSD価格は2027年ごろまで高止まりする可能性が高い
この流れは不可逆であり、AIの進化が止まらない限り、ストレージ需要は右肩上がりに続くでしょう。 つまり、NANDフラッシュ市場はもはや「過去を保存するための装置」ではなく、未来を生成するための基盤へと変貌しているのです。
一般ユーザーにとっても、SSD価格が比較的安定している今のうちに、信頼できるモデルを手に入れておくことが賢明です。 SanDiskなどの信頼性の高いメーカーを選ぶことで、長期的にも安心して使えます。
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よくある質問(FAQ)
- QSSD不足は本当に2027年まで続くの?
- A
はい。SanDiskやSamsungなど主要メーカーの見通しでは、AI・データセンター需要の伸びが供給を上回る状態が2027年ごろまで続くと予測されています。生産能力の拡大には数年単位の投資が必要です。
- QHDDは代替にならないの?
- A
HDDは大容量でコストも安いですが、読み書き速度が遅いためAI処理やリアルタイム分析には不向きです。AI時代では高速アクセスが可能なSSDが主流になります。
- Q今SSDを買うならどんなモデルがいい?
- A
USB 3.2 Gen2対応の外付けSSDなど、高速転送・高耐久のモデルがおすすめです。 特に信頼性の高いSanDisk製品はコスパ・耐久性のバランスが良く、動画編集やバックアップにも最適です。







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